Япония: цивилизация, культура, язык 2022

«ISSUES OF JAPANOLOGY, vol. 9» St-Petersburg State Univ 2022 531 さどる「神」とされ、漁師は「海神」として信仰するこ とが多い。仏法を守護する天竜八部衆の一ととして「八 大龍王(八人の偉大なる龍神たち)」について『法華経』 を中心に説かれており、その存在は六道中、「人界」よ り下の「畜生道」の位置づけではなく「天部(神)」と して位置づけ、釈迦に帰依した「神獣」として広く知ら れることになった。日本で「龍神」といえばおおかたが 先述の仏教影響下と考えてよいものが多い。 拙稿では 2011 年に起きた東日本大震災で甚大な被害を受 けた仙台市における龍神信仰に注視し考察を試みたい。 2 仙台市内での水神(龍神)をめぐる現地調査 この項目では先述の「公益財団法人みやぎ・環境とく らし・ネットワーク」が行った調査報告について紹介し たい。 日本は古代より稲作地帯が多かったので、灌漑用水に 関する神が多く、川をせき止めて取水する堰には必ずと いってよいほど水神碑が建立される傾向にあった。近年 は温暖化気候の影響により洪水被害が毎年あるが、かつ ても治水工事の発達が間に合わなかった事情もあり、頻 繁に洪水が発生したので防除を祈願したらしく、 その祭 祀方法は小さなものは「石碑」、 小さな祠、広大な敷地 と神殿を備えた神社など様々な形体で存在する。 「公益財団法人みやぎ・環境とくらし・ネットワーク」 の調査方法で重視したのは場所や景観等だけで はなく、 「水神(龍神)」の地域の人々との関わりである。 「水 神(龍神)を先祖代々守ってきた【守人】がいるはずで ある」という仮説のもと、現地での調査を重視し伝承を 知る人物たちを探した。

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