Япония: цивилизация, культура, язык 2022

«ISSUES OF JAPANOLOGY, vol. 9» St-Petersburg State Univ 2022 535 この結果を受け、次項では水神と同体ともいえる龍神が、 「神」としての「神通力」を、衆生のためにいかにして 発揮しようとしているのか、例をあげながら試論を述べ る。 3 仙台市荒浜地区の八大龍王碑の役割 (図1)(図2)は東日本大震災前の荒浜地区の八大 龍王碑である。この荒浜地区というのは(図5)の地図 でお分かりになると思うが、海と沿岸の間にあり、津波 がくれば必ず海をかぶってしまう場所に安置されていた。 東日本大震災のときも当然のことながら、この場所は大 津波で流され、祠は流れ、御神体とされたであろう石碑 は真っ二つに破壊された。奇跡的に鳥居だけが残ったの である(図3)。この残された鳥居にはいまも賽銭がた くさん入れられており、崇拝の対象となっている。 この画像からわかることは石碑は再建されなくとも、 龍神が守護する如意宝珠という神通力の象徴が立てかけ ている点である。 社会通念として龍神が水と深く結びつくことは、子供 時代に読んだことのある昔話などでもそのように多く描 かれている。そのときの龍神というのは八大龍王もそう であるが、彼らの住居は「湖畔」「川」「海」であった。 よって、もし説話解釈として考えるとき「大津波」は 「海」に住む龍神たちが、地平に向かって襲いかかって くる、という絵が浮かびやすいのではないだろうか。そ の行為を鎮めるために地上に住む人間たちは龍神を畏れ、 結果祀ってきたのではないか、と見るのは容易いことの ように思う。 しかしこの鳥居と如意宝珠だけの画像を見ていると (図3)、別の解釈もできるのではないだろうか。つま

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