Япония: цивилизация, культура, язык 2024
«ISSUES OF JAPANOLOGY, vol. 10» St-Petersburg State Univ 2024 45 西尾は、「大きい」「広い」は 1 ・ 2 ・ 3 次元、「長い」は 1 次 元の量を表すとした 20 。 5 対の次元( dimension )形容詞 21 の体系を正六面体で表した国広は、「大きい」は言及対象 の形態上の特徴に関する制約が最も少なく他の形容詞と の言い換えが可能な場合が多いことに注目し、次元形容 詞の中で最も抽象度が高く、他の形容詞と両立可能 ( compatible )であることが特徴だとまとめている 22 。例 えば、名詞「部屋」に対する次元形容詞の共起の調査で は「大きい」「広い」どちらも母語話者によって用いられ ていることが報告されている 23 。では、「大きい部屋」と 「広い部屋」の違いはどこにあるのか。 国広は、全体の形がつかみにくいような事物には「大 きい」は使いにくいと述べ、「広い世界」は「大きい世界」 と言い換えられないことを指摘し、「大きい」には<形の ある物を全体として捕えた時の空間占有量が大きい>、 「広い」には<厚さを考慮に入れないで見る時のものの 面積が大きい>という意義素を抽出している 24 。 久島は、言語主体の経験・知識に基づいて意味付けら れる<物>としての性質と<場所>としての性質に注目し、 18 劉笑倩「視点による次元形容詞の使い分け-「大きい・小さい」 「広い・狭い」「高い・低い」「太い・細い」に関する考察-」拓殖 大学大学院言語教育研究科博士論文 . 東京 , 2013. 136p. 19 栗木久美「日本語次元形容詞の意味研究-認知言語学の観点から-」 名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士論文 . 名古屋 , 2022. 207p. 20 西尾寅弥前掲(注 12 ) P.70-78, P.179-181. P.230-240 21 オオキイ・チイサイ、ヒロイ・セマイ、ナガイ・ミジカイ、フト イ・ホソイ、アツイ・ウスイ 22 国広哲弥前掲(注 15 ) P.166-167. 23 劉笑倩 前掲(注 19 ) p.48.; 川出才紀「基本形容詞のプロトタイプ構 造」『信州大学教養部紀要』 27. 松本 : 信州大学 , 1993. P.122. 24 国広哲弥前掲(注 15 ) P.163-166.
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