Япония: цивилизация, культура, язык 2024

«ISSUES OF JAPANOLOGY, vol. 10» St-Petersburg State Univ 2024 49 ている。そして、言及対象を「実際的把握」で捉える場 合には「広い」が共起され、「概念的把握」の場合は「大 きい」が選択される傾向があるとした 32 。 上記の先行研究を踏まえてまとめると、「大きい」は言 及対象である客体の外から容積や体積を視覚的に捉え1 つのまとまった物として認知主体によって把握された物 の属性を表し、「広い」は言及対象である客体の中から面 積・容積の機能に注目し人間が活動・存在する所として 認知主体によって把握された場所の属性を表す、という ことがわかった。 次に、本稿で問題と日本語として不自然な共起表現に ついて考えてみたい。 (1) 「?大きい部屋」 → (1 ’ ) 「広い部屋」 (2) 「?私の部屋は大きいです」 → (2 ’ ) 「私の部屋は広いです」 初級の形容詞の用法と存在文・所在文の学習が終わっ た後に「私の部屋」というテーマを導入すると (1)(2) の表 現が発話や作文に見られる。部屋のどこにどんなものが あるのかを話す・書くという課題で名詞「部屋」を装定・ 述定する場合は、①部屋の外に立脚点を置き、そこから 部屋を立体物として全体の外形を言語化するのではなく、 ②部屋の中に立脚点を置き、そこから勉強したり休んだ りするための家具などが置いてある所または勉強したり 休んだりする所として、③作文を書く学生が認知主体と なり部屋を把握し言語化するのであるから、「広い」を用 いた方が日本語としてより自然であるということになる。 大学生の外国語の語彙学習において母語による対応語 を通して意味を理解することからはじめることは一般的 であり、不可避の学習方略である。しかし、多義語学習 32 劉笑倩前掲(注 19 ) P.68-72.

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